以前、「マネジメントとは何か?」「マネージャーの役割は何か?」について投稿をしましたが、今回は、その中で求められる「マネージャーに必要なスキル」について、6つほど重要なものを紹介します。
「マネジメント」とは何か?について、しっかりと理解できている人は多くありません。今回は特にマネージャー層の方が理解しておくべきマネジメントの定義、目的や役割についてお伝えします。 [sitecard subtitle=[…]
マネージャーの役割(おさらい)
おさらいになりますが、これまで以下の4つを「マネージャーの役割」として学んできました。
- 成果を生み出す :与えられたミッションを完遂する能力
- 生産性を高める :与えられたアセットの効率的・効果的な活用
- いいチームを作る :ビジョン×意欲・相互支援×心理的安全の担保
- 人を育てる :メンバーと対話を絶やさず見守り続ける
さらに、その中でマネージャーは、「ビジョンを語り、仕事はメンバーに任せ、常に感謝と賞賛を忘れず、しかるべき時に的確に判断・決断をする」存在として、それぞれの色を出していく必要があるということもお話ししたところです。
では、上記の役割・存在を担うために、マネージャーにはどんな心構えやスキルが必要なのでしょうか?
マネージャーに必要な3つの「心構え」
事実(Fact)ベースでものを考える
以前、下記投稿で「事実と解釈」について触れました。その中で「事実ベースで語れないと判断を誤る」という話をしましたが、まさにそのことです。
マネージャーは「判断・意思決定」を求められる立場です。そのためには、「事実が何か」をデータをもとに見極める力は何より重要です。部下がどれだけ解釈や感情で話をしてきても、頭の半分は極めて冷静である必要があります。
個人・集団の活性化を意識する
いいチームを作る、そして人を育てるためには、この「活性化の意識」が根底にないといけません。なかなか難しい言葉ではありますが、要するに
- まずはチームに属する「個人」の能力を最大限に高めるための営みを粘り強く行う
- そして「個人」の集まりである「集団」としてパフォーマンスが最大化できるよう、チーム内での「個人」の役割の設定、グルーピング、相互支援関係の構築を支援する
といったことになります。ただし、これはなかなか思うようにいきません。私も長年悩み続けてます。なぜなら、育てる資質や意欲、メンバーの能力を見抜く目があなたにあったとしても、相手は「自我をもつ『個人』」。まずどのように相手と胸襟を開いた対話をするのか、という後述するヒューマン・スキルが重要となってくるからです。
常に「適正な判断」を心がける
繰り返しになりますが、マネージャーは「判断・意思決定」を求められる立場です。人間なのでいつも「正しい判断」を行うことは不可能ですが、「経験」「事実」「データ」「周辺環境」「影響範囲」などを冷静かつ一歩引いた目線で考慮して「適正な判断」をしようと心がけることはできます。
どうしても、瞬間的な自分の感情や、表面の事象だけをとらえて判断をしてしまいがちですが、こういう姿勢こそが周囲の信頼を得る秘訣となります。
マネージャーに必要な3つの「スキル」
ここからは少しアカデミックな話を織り交ぜますが、マネージャーに必要なスキルについては、経営学者のロバート・カッツが提唱したモデルが有名なのでここで取り上げます。これは、プレーヤーからマネージャーへ、またマネージャーの階層毎のステップアップに応じて必要となるスキルをまとめたものであり、非常にわかりやすいモデルとなっています。
業務遂行スキル(テクニカル・スキル)
1つ目。これはまさに業務を遂行していくに必要な知識や技術を差し、主にプレーヤー時代に習熟を求められ、マネージャー初期(いわゆるLowerマネージャー層)においても一定のウェイトを占めるスキルになります。
対人関係スキル(ヒューマン・スキル)
2つ目。これは、先ほどマネージャーとしての心構えでも触れた「個人や集団とスムーズな人間関係を構築するとともに、それぞれを活性化させるスキル」のことです。これはマネージャーの階層にかかわらず等しく求められる重要なスキルとなります。
概念化スキル(コンセプチュアル・スキル)
最後。これは、「物事の本質をとらえて、総合的な判断・意思決定を行うことができるスキル」を指します。このスキルのベースには、ロジカルシンキングや広い視野などの様々な能力が求められることから、より高度なスキルとして、主に「マネージャー中期~後期(いわゆるMiddleマネージャー・Topマネージャー層)において段階的に重要となるスキル」とされています。
【まとめ】マネージャーも階層毎で変化が必要
繰り返しになりますが上記のモデルは、
- 「ヒューマン・スキル」はどの階層でも等しく求められるが
- 「テクニカル・スキル」はステップが上がるにつれて存在が小さくなり
- 「コンセプチュアル・スキル」はステップが上がるにつれ重要度を増す
という、「同じマネージャーでも段階によって求められるスキルのウェイトが異なる」ことを的確に表現したものとなっています。
「部長は『大課長(だいかちょう)』ではいけない」という話をよく聞きます。部長(=Topマネージャー層)は単に「課長に求められるスキルが更に高まった状態」ではダメなんだということで、まさにこのモデルで言い表したいことですね。世の中のシニアマネージャー層は注意してください。