サラリーマンとして生きていく上で、誰もが気にする「昇進」。ここではその仕組みや知られざる試験の攻略法についてまとめていきたいと思います。
「昇進」とは何か?
まず、昇進とは何かをしっかりと押さえておきましょう。昇進とは、「一般社員から主任へ」「課長から部長へ」といったように、役職が上がることを指します。
一般的な企業においては一定のタイミングで「昇進試験」なるものが存在し、その試験の中においてその人のスキルレベルや業績、会社への貢献度、周囲への影響度、昇進前の役職での勤務年数、求められる役割など、さまざまな観点で「上位職を任せるに値する」と判断された場合において、人事を管轄する部署の決定により昇進することとなります。
企業によって基準はバラバラではありますが、「脱年功序列」が色濃い現代においては、何の成果を上げることもなくただ勤続年数が高いだけではなかなか昇進をすることは難しいのが実態です。
「昇進」と「昇格」の違い
「昇進」=「昇格」とは限らない
似て非なる言葉に「昇格」というものがあります。最初に申し上げておくと、「昇進」と「昇格」はイコールではありません。これを理解するためには、まず、「職能資格制度」とか「職能等級制度」と呼ばれるものの仕組みを押さえておく必要があります。
「職能資格制度」とは何か
会社によって職能資格制度や職能等級制度など、名称は様々ですが、シンプルにいうと「社員の能力によって等級を定めるという制度」のことで、いわゆる大企業や自治体では一般的に導入されています。(最近では、大企業においては「ジョブグレード制度」に置き換わるケースも増えていますが、これについてはまた別途特集します)
実際には、入社した段階で、「〇〇資格 〇級」とか「グレード〇級」などの等級が決められており、ステップアップしていくにしたがってその等級が上がるわけです。これを「昇格」と言います。
一般的にはこの等級に応じて給与水準や処遇が決定することになるので、サラリーマンにとっては役職とともに重要視される指標なわけです。
「役職」の裏に「職能資格」がある
多くの企業では職能資格は役職と連動しています。役職の裏には職能資格があるイメージですね。職能資格と役職の連動について、具体的な例を見ていくと、
- グレード1~グレード3:一般社員(グレードにより給与は異なる)
- グレード4~グレード5:主任クラス
- グレード6~グレード8:課長クラス
- グレード9以上:部長クラス などなど
といった感じですね。上記のように同じ役職でも複数の「給与の異なるグレード」が存在するケースが一般的かと思いますが、技術開発の専門職などの場合は、必ずしも役職と職能資格が連動しない場合もあります。いろんなバリエーションがある中の一般的な例として捉えてください。また、多くの場合、課長もしくは課長の中でも上位グレードになった段階で、これまで支給されていた時間外手当が基本給に含まれるようになってきます。若者が「管理職になれば給与が減る」というネガティブイメージを持つのはまさにこのタイミングですね。以上をまとめると
- 職能資格(グレード)が上がる=「昇格」
- 役職(課長や部長など)が上がる=「昇進」
となります。ちなみに昇進・昇格によって賃金が上がることは「昇給」といいます。
いつ、どんな形で昇進するのか
最後に、じゃあ、どうやって昇進がきまるのか?という話になりますが、。
主な判断手法としては、「勤続年数(今の職位での勤務年数を含む)」、「人事評価(業績・人物面)」、「知識テスト・論文等の試験」、「職務適正検査・研修(アセスメント研修)」「人事や役員との面談」などが挙げられます。ほかにも、「語学力(英語ならTOEICなど)」を求められるケースもあります。
あくまでも私の経験としてですが、知識テストなどはあくまでも最低限の基準をクリアしているかどうかを判別するものでしかなく、最終的には「職務適正検査・研修(アセスメント研修)」や「人事や役員との面談」を通じて「この人に本当に上位職を任せても大丈夫か?」をチェックする企業が多数派ではないかと感じています。
よって、今後の特集においてもこういった「アセスメント研修」や「面談」をどのようにクリアしていくのか?についてしっかりと整理していきたいと思います。
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