特集「昇進試験」④面談を乗り切る(第2回)

今回は「面談を乗り切る」の第2回目。少し具体的に、物の考え方や話し方に関するテクニックについて深堀りしていきたいと思います。

前回のおさらい

最初に前回のおさらいをします。

まず、面談(面接)で聞かれるであろう項目については、以下の通り

  • 現在の業務における成果(会社・組織にどのような貢献をしたか)
  • 現在の業務・所属する組織・会社全体における課題感(課題意識の広さ・深さ)
  • 課題に対する対処や取り組みの方向性(コンセプチュアルスキルの深堀り)
  • どのようなリーダー・マネージャーになりたいか(ビジョンの明確化)
  • チーム作り・育成に対する考え方や現在の取り組み(ヒューマンスキルの深堀り)
  • 自身の強み・弱みの把握、それを踏まえた今後の啓発ポイント(自己の客観視)
  • 今後の自分自身のキャリアビジョン(Will Beの深堀り)

さらに、その中でどのように考え、話すのか、については以下の通り記載しました。

  • 原則、「論理的(ロジカル)」に(なぜそう思うか?を意識して)
  • 常に「高い目線」「広い視野」を意識して(Think Global)
  • 一方で「現場で起きている実態」に目を向ける観点を忘れず(Act Local)
  • 相手の頭に残りやすい「パワーワード」を使いながら
  • 話に「抑揚」をつけ、「シンプルかつゆっくりと」話す

繰り返しですが、昇進試験で面談を実施する一番の目的は、「マネージャーとしてふさわしい能力・人材かどうかを見極める」ことです。

それを意識しながら考え方や話し方に関して具体的なテクニックを見ていきましょう。

あわせて読みたい

昇進試験にあたって実施される重要なイベントに「人事や役員(経営幹部)による面談」があります。面談とはどれほど重要なものなのか?どうやって面談を乗り切ればいいのか?じっくり2回に分けて考えていきます。 昇進試験での「面談」の意[…]

話し方のテクニック

笑顔を混ぜながら、ゆっくりと話す

こういう面談では、一番重要なことです。

緊張で顔がこわばって、がちがちになっているようでは、マネージャーになったときの「ストレスに耐える能力」が少ないと思われますし、早く話過ぎて何を言っているかわからない、というのは「相手と話すときの最低限のコミュ力」を疑われます

心の中では思いっきり緊張していても、とにかく「余裕をもってゆっくりと」

わかりやすい言葉を使う

あなたの面談の相手はだれですか?人事部なのか、役員なのか。

いろんなケースはあると思いますが、あなたが話す相手は基本的に「あなたのやっている業務に関しては素人」です。これをまず覚えておきましょう。

素人に、業務を専門用語を使いながら難しく話しても、相手に通じないどころか、まず耳を閉ざします。そして印象もよくありません。なぜなら、「わからない人にわかりにくく話す」人間は人事の目線で言えば「単なるコミュ障」でしかないからです。話せば話すほど雑音です。

面談の場は、あなたのこれまでの業績や考え方に関して理解を深めてもらい、より良いステップアップにつなげてもらう場です。とにかく相手に通じる言葉で、子供に語り掛けるように話をしましょう。

「抑揚」「パワーワード」を使う

よくありがちなケースとして、淡々と薄っぺらい話し方をして、終わった後で結局何の印象も残らない方がいます。おそらくそういった方は、選ぶ言葉やテンションの作り方を間違っています。

人間は抑揚(緩急)をつけて話されると、その話が頭に残りやすいものです。そして、「インパクトのある強い言葉」を使えば、さらにその印象は増します

例えば、

「関連する部署と一緒に〇〇〇を実行した」という言葉。


そのまま使っても何も印象に残りません。それよりも、

「関連する部署の数十人を巻き込み、自分が中心となって〇〇を実行し、〇〇を生み出した」

となればだいぶ印象は変わります。

リーダーには、周囲を巻き込む力、当事者意識をもって苦労してでも成果を出す力などが求められます。求められることができる人間だ、とアピールできることは非常に重要なわけです。

「エピソード」を交える

「自分には〇〇の力がある。具体的なエピソードを言うと・・・」

高度なテクニックではありますが、「あ、この人は本当にこういうことをやってきたんだな」とか「あ、この人は本当にこういうことができるんだな」と思わせるための最短距離がこのエピソードトークです。

あなたの話に説得力を持たせることを意識するのであれば、是非使ってみてください。

「コンパクト」に話す

話し方の最後になりますが、ダラダラと長く話す人がいます。いいことを言っていても長い話は誰も聞きたくありません。

とにかく言いたいことをコンパクトにまとめましょう。

そのためには、事前に話すことを整理する準備も必要になりますし、話す練習も必要になります。
印象が良くなるか、悪くなるかはここで決まるといっても過言ではない重要な要素になりますので、とにかく事前準備をしっかりしましょう。

考え方のテクニック

とにかくロジカルに考える

考え方としては、一番重要なことです。

これまでこのブログでは何度も触れていますが、ロジカルに話ができるかどうかは、最低限のマネージャーとしてのスキルがあるかどうかを見極める重要なポイントになります。

自分自身の苦労・工夫を考える

これも面談あるあるですが、成果や課題など、第三者的に(他人事のように)話す方がいます。

そういう人に私は常に「あなたの工夫・苦労は何?」と聞きます。

その仕事・プロジェクトの中で、当事者であるあなたが何を考え、どんな工夫をしてきたのか、苦労は何だったのか?を知りたいからです。

要は、人から言われてやっただけなのか、自分の頭で考えてやってきたのか、それでこれからのあなたのマネージャーとしてのパフォーマンスを見分けるわけです。

業務ではなく、部や会社全体を考える

一番残念なパターンとして、自分の業務に自信やこだわりや知識があるゆえに、自分の今の業務から考えが全く逸脱できない方がいます。

よく、こういう面談では「虫の目・鳥の目・魚の目」が重要と言われます。

  • 虫の目:ミクロの視点(現業に関する地に足ついた目線)
  • 鳥の目:マクロの視点(もう少し大きな組織を見渡す目線)
  • 魚の目:流れの視点(流れを読んで未来を見とおす目線)

自分の業務から逸脱できない人は1点目で止まっています。しかもそういう方は1点目についても、考えが浅いケースが多い。
そうではなくて、自分の業務から部や会社全体を見渡してみて何が課題なのか、そのためにどうすればいいのかをちゃんと見ているかどうかがマネージャーとして重要になってくるわけです。

しかも、今後のマーケット動向などを見たうえでどう動けばいいのか、将来的な目線まで持てていればなおよし。そういう方は自然とマネージャーに選ばれて行きます。

まとめ

話し方で5つ、考え方で3つのポイントをここでは記載しました。

実際必要なことはこれだけです。

あとはしっかりと自分で話す練習をしてそれぞれのポイントを磨いていくことが重要なので、嫌がらずに何度も練習しましょう。家族に聞いてもらってもいいし、鏡を見ながら話をすることもお勧めです。

最新情報をチェックしよう!