「出世を望まない若者」の4つの誤解

あなたは出世したいですか?出世したくないですか?

最近は、「出世を望まない若者」が増えているようですね。データにもよりますが、20代~30代平均では全体の7割~8割は「管理職になりたくない」と回答しているとのこと。

今回はその理由を深堀りするとともに、そのデータの「落とし穴」というか「誤解」について考えます。

出世したくない理由

メディアで取り上げられる「出世したくない理由」は主に以下の4つです。

理由1 年収が減る

これ、少し語弊があって、正確に言えば、主任クラスから課長クラス、もしくは同じ課長クラスでも非管理職の課長(Lower)から管理職の課長(Middle)に昇格し、「一定の時間外手当が給与に組み込まれる」処遇となった場合のことを指しています。

それまで多くの時間外をこなし、一定の給与水準をキープしてきた方々にとっては、時間外手当が給与に組み込まれたとたんに給与が減る(場合がある)ということになります。

理由2 責任が増える

一般的には、管理職に出世することで、主に以下のような責任が発生すると考えられる一方で、その責任が過度の負担になるというものです。

  • 業務を最後まで遂行する責任
  • 問題が発生した場合に説明する責任
  • 部下およびその家族に対する道義的な責任
  • 有事の際の賠償責任

理由3 給与と責任が釣り合わない

上記2つの理由の合わせ技になりますが、要するに「割りに合わない」ということです。

理由4 出世競争が嫌

人との過度な競争が嫌だ、仲良く手をつないで、ということなんでしょうかね。私の経験上、こういうことを言う人は既にに競争で負けており、争いごとが嫌いであることを言い訳に自分の未熟さや無能さを正当化したいことがほとんどです。残念ですが・・・

見落としがちな「誤解」と「現実」

「固定給が安定する」が正しい

そもそも、時間外でようやく維持できている給与水準や立場ほど危ういものはありません。まして、40代、50代でそういう立場にいる人は「会社でも重要視されていない証拠」なので、一つ間違えばリストラの対象です。

むしろ、時間外をしない(できなくなることを含めて)場合でも固定給が安定するという立場は、長い目で見た場合は望ましいものと考えらえます。

また、現実は、デキる人ほどこの微妙なボーダーラインでは悩みません。さっさと突き抜けて、より多くの固定給(生涯年収)を獲得します。

「責任」なんてたかが知れてる

責任が増えることが嫌。若者らしい意見です(笑)
が、たかだか一般企業の管理職の課長や部長レベルでは、よほどの法律違反でもない限り「対外的な説明責任」や「法的な賠償責任」なんて負いません。ぶっちゃけ考えすぎです。あってもせいぜい、部長や役員からこっぴどく叱られるといったレベルで、罪に問われるわけでも何でもありません。

「部下やその家族に対する道義的責任」は確かにその通りですが、逆にこれくらいの責任で逃げていたら、今後家族ができてもロクに守れません。

「金銭的・時間的余裕」が重要

よって、「割りに合わない」と考えるよりも、やりたいことができたときに「金銭的・時間的な余裕」を持てるかどうかに目を向けるべきです。

家族ができ、子供に一番お金がかかる30代・40代でやりたいことが増えたとき、どちらが余裕があるのか?ということを「家族に対する責任をもって」考えることが重要になります。「若くて想像力が乏しい」ことは、それこそ罪なことです。。。

出世した時の金銭的・時間的余裕については、以下の記事に記載しています。


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「出世したくない」自体が無理ゲー

今の日本は、平均給与は下がり、物価は上がり、豊かな暮らしにはそれなりの「余裕」が必要です。投資をしようにも軍資金が貯まるためには「余裕」が必要です。

その現実から目を背けて、出世競争が嫌だ、責任が嫌だ、などと言い訳を並べてみたところで、何一つうまくいく可能性がない無理ゲーをやっているようなものですね。

繰り返しですが、我々のような多くの一般人はもっと現実を直視すべきです。

(まとめ)話題性よりもっと現実を伝えるべき

私は、こういったデータを喜んでニュースにする側にも問題があると考えている人間の一人です。

「ほら!みんな管理職になりたくないんだって!」とだけいうのではなく、「出世しても高々しれてるでしょ!」といった一般人の感覚を狂わせるようなことを発信するのではなく、もっと「金銭や時間のリテラシー」を高め、「適正な危機感や向上心」を与えるような発信をすべきではないかと考えます。

そして、この記事を読んで皆さんの出世に関するリテラシーがある程度向上することを心から祈ります。

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